データで攻略する短答式試験

対象読者: 短答の選択肢出現頻度がきになってる人や統計資料を見るのが好きな人

読了目安: 約1分

 

こんにちは。ほうむです!

 

短答問題をこなしていると、「あれ?この番号やけに多いな。」と思うことありませんか?

数学的には複数ある選択肢が各々出現する可能性は同様に確からしいといいますが、実際のところ偏りってあるんじゃないの?

 

そんな疑問もったことありませんか?(私はあります!)

 

今回の記事では短答正解番号の統計をとってみました。

 

資料は平成23年度から平成30年度の予備試験の短答式憲法です。

その中から8択問題(1:○○○〜8:×××という形式の問題)に限って統計をとり、視覚化してあります。

 

みなさん、頭の中でどの選択肢が多く(少なく)出ているか、想像した上でご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

じゃじゃ~~~ん!!!

 

 

 

 

 

 

 

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どうでしょう?ご自身の想像と一致していましたか?

1と8の出現率の低さは驚きですね。ちなみに、8は平成29年に2回出現したきりです。

 

出題委員が調整をかけたのか、偶然かはわかりませんが非常に面白い分布になっています。

 

今後も他の科目や本試験の方の統計もとってみて適宜発表しようと思います。

 

もっとも、あくまで過去のデータの偏りを示すものであり、今後の試験での正解の出現率を保障するものではないことをご留意ください。私自身は、短答は正確な知識に基づいて解くものだと思っています。

本資料は、最後のヤマカンにかけなければならない時のひとつの判断材料程度にご利用いただければと思います。

 

 

 

 

 

簡単なプロフィール

対象読者:「ほうむ」って誰やねんと思っている方

読了目安:約2分

 

私のバックグラウンドを簡単に紹介します。


1 大学

部活の先輩やOB弁護士に論文指導をしていただいたりしながら図書館と家を往復する毎日でした。周囲の友人にも恵まれ、充実した大学生活でしたが、もうちょっと大学生らしいことをしておけばよかったかな、と後悔していたりもします。

大学入ったころから、旅行に行くことが増え、温泉巡りや滝巡りが好きになりました。


2 大学院

それなりの規模の私立のロースクールに入学しました。成績はうろ覚えですが、コンスタントに上位10%以内には入っていたと記憶しています。


3 司法試験・国家総合職試験

ロースクール卒業後、1回目で幸運にも司法試験に合格しました(こちらも上位10%以内だったと記憶しています。)。

また、司法試験受験後、暇を持て余していたのと、タダという魔法の言葉につられて、国家総合職試験(旧:国Ⅰ)を受験しました。こちらも幸運にも合格し、官庁訪問なるものを体験してきました。

私のお受験人生を振り返り自分を評価してみると、ぶっちぎりの上位はとったことはありませんが、相対的評価のされる試験で特別困ったことはないので、いい意味で「頑張れる凡才」なのかなと思います。

4 現在

都内にある中規模法律事務所で弁護士をしています。

事務所の顧問先は芸能、出版、広告、病院、寺院といったところが目立つように思います。

取り扱っている法律内容についてもそれなりに幅広く、民法会社法はもちろんですが知財法、倒産法、労働法をよく使っている印象です。最近では、学生があまり知らないところだと、薬機法(改正薬事法)などを使いました。

業務の幅が広く定型的処理になじまない案件が多いのが楽しみでもあり、悩みでもあります。

国内案件がメインです。大手を振って渉外とまでは言い切れませんが、外国語を使う案件も担当しています。

感覚的には、企業法務と街弁のあいの子といった立ち位置なのかなと思っています。




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はじめにお読みください(注意事項・免責事項)

対象読者:本ブログに初めて訪問された方

読了目安:約3(約1300文字・500〜600文字/分)

 

ブログに御訪問頂きありがとうございます。

1 内容

本ブログは、あくまで一個人が法律に関する情報や考え等を書いているものです。司法試験の答案例等の役立ち?記事も書いたりしますが、私のペース(=気分)で投稿量や更新頻度が変わりうることをご了承ください。

 

本ブログでは、いわゆるポリティカル・コレクトネス等をはじめとして、他者に不快感を与えない表現内容になるように配慮したいと考えています。もっとも、①記事作成時点における私個人の考えを記載するものであることによる制約、②もとより文章による表現であることに伴う制約、③ある程度ピーキーな文章の方が面白みが増す(と考える私の皮肉屋な性分)などなどの制約?から、徹底しきれない部分があることはご了承下さい。

 

あいまいな表現をすべきところはなるべく「~という考え方もある」というような形で無責任な断定を避けるように努めますが、ケースバイケースで断定的な表現をすることもあることを付記します

(お受験界ではその方が好まれる傾向があるように感じていますし、例えば、①書籍のレビューもどっちつかずな表現では何のためのレビューなのかわからなくなります②解答例では断定調で書かざるを得ません等々)。

 

私自身に攻撃的・差別的な意図はありませんが、表現を発信し続ける以上、私の表現によって気分を害される方も不可避的に現れることは予想できます。そのような方には、この場を借りて、予めお詫び申し上げます。

 

2 文責・著作権

全ての記述は私、「ほうむ」個人の考えです。所属する組織の考えを代表するものではありません。本ブログの文責は私、「ほうむ」個人に帰属します。

本ブログ上の答案例・文章及び音声による解説は私個人が作成したものなので、無断転載はしないでください。ただし、ブログ記事へのリンクや文章の引用は、出典を示した上であれば、私に許可をとることなく行って頂いて構いません。

 

3 情報の正確性

記述や情報の正確さに対しては可能な限り配慮しますし、情報提供目的で書いている記事は、できるだけソースを確認しつつ執筆するようにしています。もっとも、学術論文を作成しているわけではありませんので徹底できない部分はあることをご了承ください。

参照元の情報に誤りが含まれている可能性はありますし、私の咀嚼力が十分でないために表現にミスリーディングな部分が生じるおそれはあります。重要な内容等については、ご自身で情報源・原典にあたってください。また、情報はアップデートされている可能性がありますので、私の記事がアウトオブデータになっている可能性にもご留意ください。情報の誤り等については、発見された方はコメント欄等で指摘して頂けると、適宜反映するように努めます。

 

4 最後に

弁護士という肩書を掲げている以上、可能な限り内容の正確性や適切な表現を用いるように気を使うようにします。もっとも、あくまで個人の趣味の延長のブログであることから、基本的には自分の書きたいことを書くつもりです(「こうした方がいいんじゃないか。」といった要望等がございましたらブログのコメント欄やツイッター(@howmdt)にてコメント・リプライ・DM等をお待ちしています!)。

以上について、予めご了承ください。

 

ほうむ(@howmdt)

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改正法で解く旧司法試験(平成22年度第1問)

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債権法改正によって、平成22年度第1問の問題が新設された条文を使う良問になりました。さすが旧司法試験ですね。

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音声による解説はこちら、「事例検討」を耳で入れたい方はこちらを利用してください(まだ一部)。

howmdt.hateblo.jp

 

事例検討

 

 

設問1(1)前段

Q 当事者の要望は何か。

Aの要望は「500万(金)返せ。」です。

 

Q 民法上その要望を実現する効果を持つ制度は何か。

次は、その根拠を考えます。先に述べた通り、「物権」と「債権」に対応する効果で考えます。500万円はもともとAのものでした。しかし、AB間で売買契約が結ばれ、代金として500万円が交付されています。そのため、Bは正当に500万円を保持できますから、Aには「金を返せ。」と言う根拠がないことになります。売買契約が邪魔です。

この場合、考えられる解決方法を大まかに整理すると、①売買契約をなかったことにする(解除・取消し等)または②売買契約があることを前提に改めて契約を結ぶといった手段が思いつくはずです。

本件で②を使うのは微妙です。契約には意思の合致が必要です。改めて売買契約を結ぶには、Bの任意の承諾が必要となります。Aを食い物にするBが承諾するとは考えにくいです。

では、①はどうでしょう。Aの気持ちを代弁するなら、「自分は何がなんだかわからなかったのだ。」と主張することになるでしょう。問題文には、事理弁識能力とあるので、意思能力の話をしなければなりません。意思無能力だから売買契約は無効になります。どうして意思無能力者の意思表示が無効になるかは考え方がわかれますが、改正によって明文が設けられたので、これにあてはめればいいでしょう。

契約が無効になったら、Bは、500万円について無権利者でありながら、これを保持していることになります。500万円はAのところになければなりません。この実体と権利関係のズレを元に戻さなければなりません。これを原状回復といいます。

この場合の請求は不当利得(「債権」)としての性質があります。なお、ここにいう不当利得は703条を根拠にするものではなく、121条の2第1項であることに注意してください。前段は以上です。

 

設問1(1)後段

なんだか都合のいい話に聞こえますね。ともあれ、まずは法律上どうなっているかの形式的な検討をしましょう。問題を見たときの印象に引っ張られすぎないようにしてください。

 

Q 当事者の要望は何か。

問題文にある通り、「絵画(物)返せ。」です。

 

Q 民法上その要望を実現する効果を持つ制度は何か。

BがAに立てる請求権は、設問1(1)前段と同じく121条の2です。

無効は当初より無効であり、誰でも主張できるもののはずですから返還請求ができるとなりそうです。しかし、感覚的には変です。自分のいいようにAを食い物にしておいて、後になってもっと都合のいい話が来たから、Aとの取引を翻したい。なんとも都合のいい話です。

また、設問の構造からしても変です。前段と後段で全く同じ結論になるというのは出題としても芸がありません。このような設問の構造からすると、出題者は、前段との違いを踏まえて後段を論じるよう受験生に誘導をかけていると推測できます。

何か使えそうな条文を探すと、公序良俗や信義則、権利濫用を思いつくかもしれません。ただ、やや乱暴です。確かにBのやっていることはフェアではないかもしれませんが、詐欺や強迫、犯罪行為を行っているわけではありません。本問では一般条項に頼れるほどの悪質な事情はないので、条文の形式的適用による解決はできません。また、あえて意思無能力に関する出題をしてきた出題者のことを考えると、意思無能力に関する制度趣旨から現場思考して立論することを求めていると考える方がスマートです。解釈をするときは制度趣旨から考えます。「そもそも」と考えた思考を答案に示します。意思無能力者の意思表示が無効となるのは、本人保護という趣旨からすれば、本人でない相手方は無効を主張できないと論ずることができます。

 

小問1(2)

少々難しい問題です。同時履行の類推であるとか価格返還であるとか、民法が苦手な人は、頭にハテナが浮かんでいませんか?こういう処理パターンがあるのだということを押さえておいて下さい。こればかりは慣れです。

Q 当事者の要望は何か。

「500万(金)返せ。」です。

 

Q 民法上その要望を実現する効果を持つ制度は何か。

請求権は121条の2に基づく返還請求権です。

 

Q 相手の不満(反論)は何か。

Bは「お前も絵画(物)返せ。返すまでは金は渡さない。」と反論するでしょう。これは同時履行を主張していると理解できます。問題は同時履行をそのまま適用できるかです。同時履行の抗弁権は双務契約の牽連性によって認められるものです。確かに、今回の状況も双務契約を出発点に置いています。しかし、返還を求めているのは双務契約(売買契約)によって直接発生した債権そのものではありません。元々の牽連関係のあるはずの債権はないのです。本来的な適用場面ではありません。そこで、類推適用となります。直接適用してはいけません。

しかし、既にその物がなくなっているため、前提を欠く主張になります。

そこで、次に「物が返せないなら金で返せ」と言うことになります。お互いに金返せという状況ですから、相殺による簡易迅速な決済を求めていると理解できます。121条の2は物がなくなった際には、価値返還を請求できることが当然に含意されています。しかし、今回は同条3項の適用があります。現存利益はありませんから、反論は認められません。

 

小問2

Q 当事者の要望は何か。

CはAB間の取引を「取消」・「無効」・「追認」したいという要望を持っており、それにどう答えるかという問題です。

 

Q 民法上その要望を実現する効果を持つ制度は何か。

後見人は何ができるのか。本問は、意思無能力者というあまり出題されない分野からの出題です。しかし、この手の問題は、概してそこまで難しくありません。誘導がかけられていることも多いです。それにも関わらず、焦って何も書けない受験生が一定数います。むしろラッキーだと思うべきです。本問は、「取消し」「無効」「追認」を検討せよとの誘導があります。純粋に条文知識からアプローチする方法もありますが、まずは、知識で解決するのではなく、各々どのような根拠でできるのか検討しましょう。いきなり趣旨から考える必要はありません。まずはその手がかりになる条文を探す。この姿勢が大切です。丁寧に条文とにらめっこしましょう。

条文をサーチすると、後見人は取消しができます。無効については規定がありません。追認は条文があります。答案では、最低限これらのことに言及しなければなりません。

では、成年後見人は取消しについていつの時点からの取引を取り消せるのか。考えてみると、自分が関与していない取引を取消せるというのは少し変です。もっとも、今回の相手方は不誠実だから、被後見人を保護する方向も十分あり得るのではと思った方もいるかもしれません。しかし、他の規定(本人による無効の主張や後述する後見人による無効の援用)で保護がなされているのであれば、あえてここで原則論を修正しにいく必要はありません。全体のバランスも考える必要があります。

結局、成年後見人は就任以降の被後見人の行為について取消権の行使ができると理解するのが素直です。それ以前の行為についても取り消せるとなると、どこまでも遡って取り消せることになります。就任前については、無効の援用一本に絞って、法律行為時に意思無能力であったか否かの立証の問題として解決すればよいように思われます。

次に、無効です。無効の規定がなくて焦るかもしれませんが、必要以上に条文を探すことに時間をかけ過ぎてはいけません。条文以外の方法で処理しろということだと直ぐに判別をつけましょう。後見人個人から離れて、被後見人の無効主張の援用ができないかということに気付きたいです。

最後に、追認は、無効な行為の追認になることを指摘します。無効な行為の追認はできないのが原則です。もっとも、無効な行為であることを知った上で追認した場合には、「新たな法律行為」として有効にすることができるので、説明の仕方は違えども、実質的に追認した場合と結論が変わらないことになります。ただ、説明の仕方が違うことはきちんと示さなければなりません。これだけ指摘できれば十分です。

以上

 

【再掲】音声による解説はこちら、「事例検討」を耳で入れたい方はこちらを利用してください(まだ一部)。

howmdt.hateblo.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

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ゆっくり学ぶ旧司法試験(平成22年度第1問)

文字を読むよりは講義調で耳から入れていきたい人のために、事例問題を解く思考過程を音声データ化しました。フリーダウンロードなので、自由にお使いください。

 

⇩⇩問題文等はこちら⇩⇩

 

howmdt.hateblo.jp

 

 

 小問1(1)前段 

www.dropbox.com

小問1(1)後段

www.dropbox.com

小問1(2)

www.dropbox.com

 

 

 

図解民事紛争と当事者目線

 

平成7年度旧司法試験を参考に、法的紛争が起こって、どのように解決されていくか、民事事件の流れを図解してみました。

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本件は偏屈な隣人とのトラブルですね。多くの事案で、当事者間の話し合いがなされます。しかし、本件はそれでは解決しそうにありません。

 

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というわけで、X山さんは弁護士の「あなた」に相談にきました。「なんとか」してあげたいですね。ちなみに隣人トラブルは、弁護士として介入するのが難しい案件が多い印象です。今後のことを考えると弁護士を入れない方がいいと判断せざるを得ない案件や法的にはそもそも問題にならないような案件ありますから、ある意味やったもん勝ちがまかり通ってしまいます。

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さてさて、本題に戻りましょう。X山さんは、何を「ひどい」と感じ「なんとか」して欲しいと思っているのか、当事者の要望には様々なニュアンスがあります。その中から、法的に意味のあるものを取捨選択し、必要な要素を汲み取って、当事者の要望を法律的な主張に加工してあげる必要があります。これが法律家の基本的な思考の枠組みです。

 

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先ほどの検討の結果、法律的な請求が成り立ちそうです。そこで、代理人として改めて任意の撤去を求めます。が、しかし、「なん・・・・だと・・・・。」

 

 

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 X山さんは、甲野さんがいうことを聞いてくれないようなので、仕方なく、裁判を通じて権利実現を目指しことを選択しました。普通は費用だおれになってしまうので、それ以外の手段を考えるのが実際だとは思いますが、これはあくまで教室事例ですから、そういうものなのだと割り切ってください。

 

本訴訟を通じて、対立し合う当事者が、交互に主張立証を行い、X山さんが甲野さんに対して、冷蔵庫をどけろと言う事のできる請求権(「訴訟物」と言います。)があるかを裁判所に判断してもらいます。

 

さて、どうやら勝訴判決が得られたようです。とはいえ、今回得た判決は「訴訟物(先ほど出てきた、X山の甲野に対する請求権)がある」ということしか意味しません。

判決が出たことで甲野さんがいうことを聞いてくれればいいのですが、判決文それ自体はただの紙切れです。今後は、民事執行という手続きを使わなければなりません。

 とりあえずここまで!

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